結論
悪態をつくことで、精神的な苦痛が和らぐことが分かりました。精神的な苦痛とは、例えば孤独や疎外感、劣等感、羞恥心など、社会の中で感じる苦痛のことです。
また、悪罵は精神的な苦痛だけでなく、身体的な苦痛も軽減してくれます。これは、どちらの痛みも同じ脳の部位で処理されるからです。
この手法を実践するときのコツ
効果的に悪態を吐くためには、次の2点に気をつけなければなりません。
- 声に出して悪態を吐く
- 普段からむやみに悪態をつかない
この研究では、被験者を声に出して悪態をついたグループとそうしなかったグループに分けて実験を行いました。すると、声に出して罵ったグループの方が精神的苦痛が軽減されることが分かったのです。
また、この研究を発表したフィリップ博士によると、普段から悪態を吐いているとその効果が弱まってしまうそうです。なので、この方法を使うのは、本当に苦痛を和らげたい時だけにした方が良さそうです。
適切に活用すれば非常に簡単に効果が得られるので、ぜひ試してみましょう。
研究内容の紹介
掲載媒体 | The European Journal of Social Psychology |
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研究が発表された年 | 2017 |
引用元 | Phillip et al., 2017 |
研究方法
身体的な痛みも精神的な痛みも、生物学的には脳の同じ部位で感じていると過去の研究から考えられていました。つまり、社会的なストレスを受けて精神的な苦痛を感じると、身体的な苦痛への感受性をも敏感になるということです。また反対に、身体的な苦痛を受けると、同時に精神的な苦痛も感じているということです。今回の研究は、悪態を吐くことによってそのどちらの痛みも軽減されるのではないかということを検証するために行われました。
具体的な実験方法としては、まず精神的な苦痛を持った人たちを被験者とし、2つのグループに分けました。そして、片方のグループにだけ声に出して悪態をついてもらいました。
研究結果
声に出して悪態をついたグループの方が精神的苦痛が軽減されていました。また、彼らは身体的な痛みも以前ほど敏感に感じなくなっていました。つまり、この研究結果は2つのことを示唆しています。
- 精神的な痛みと身体的な痛みは関連している。
- 悪態を吐くと、精神的な痛みも身体的な痛みも緩和させられる。
この研究に対する私の見解
精神的な痛みも身体的な痛みも、どちらに対しても同じ脳の部位が反応するというのは非常に興味深いです。もしかすると、悪態を吐くことによって、痛みを感じる部位とは別の部位が活性化されているのかもしれませんね。だとすると、瞑想を行ったり、マインドフルネスを強化すると痛みに耐性をつけられるかもしれませんね。痛みの原因を根本的に解決する訳ではないですが、苦痛を感じる人にとって有効な手法であることは間違いないでしょう。