肥満になってはいけない
脳を10歳若く保つための最良の方法は、肥満にならないことです。
今回参考にした科学論文によると、肥満の人の脳は、そうでない人よりも生理的に10歳老化していることが明らかになりました。
太りすぎの人は痩せた人よりも脳の白質が有意に少ない
この研究では、20歳から87歳までの473人の脳を調べました。
研究者は、特に脳の白質について調査しました。
脳の白質は、脳の各領域を接続し、それらが互いに通信できるようにする組織です。その結果、太りすぎの人は痩せた人よりも脳の白質が有意に少ないことが分かりました。
脳の白質の量に差ができるのは中年から
また、この研究で、脳の白質の量に差ができるのは中年以降からということも分かりました。これは、私たちが中年になると、それ以降脳が特に脆弱になりやすい状態にあるということです。
脳の白質の量が少なくても、肥満の人の認知能力に異常はなかった
ただし、この研究では、脳の白質の量に違いがあっても、肥満の人の認知能力に欠陥は確認されませんでした。
また、下記についてはまだ明らかになっておらず、現在も研究が進められています。
- なぜ太りすぎると脳の白質の量が大幅に減少するのか
- 肥満と脳の白質の量の変化の因果関係
- 脳の白質の量の変化は減量によって可逆的なのかどうか
- 脳の構造が白質の量の変化によってどんな影響を受けるのか
私たちは高齢化社会にあり、かつ、肥満のレベルが増加しています。
したがって、健康への影響は深刻である可能性があるため、これら2つの要因がどのように相互作用するかを明らかにすることが重要です。
脳に対して体重や食事や運動がどう影響するのかについては、今後さらに研究が進められていくでしょう。
参考にした科学論文
研究機関 | University of Cambridge et al. |
---|---|
掲載ジャーナル | Neurobiology of Aging |
研究が発表された年 | 2016 |
引用元 | Ronan et al., 2016 |