ハグには免疫力を向上させる効果がある(the Association for Psychological Science, 2014)

コミュニケーション

結論

ハグが病気やストレス、うつ病の解消に役立つことが分かりました。

今回紹介する研究では、ハグの効果を検証するために大変大胆な実験が行われました。なんと、被験者が意図的に風邪のウイルスに晒されたのです。(もちろん被験者がそれに同意した上で行いました。)その結果、ハグには、人々が病気になるのを防ぎ、病気になった場合でも症状を軽減する効果があることが確認されました。

この手法を実践するときのコツ

今回の研究チームがハグを研究対象として選んだのは、ハグが人とより親密な関係を持っていることの典型的な証になるためです。つまり、ここで重要なのは、親密な関係を持つ人がいるどうかということです。親密な関係のある人というのは、例えばあなたが困った時に助けてくれるような人のことです。そうした人があなたの周りにいてくれることで、あなたは孤独を感じることなく、安心して生活することができます。それが、免疫力向上などに繋がっています。他にも、例えば新しいことに挑戦するときにも、困った時に誰に助けを求めるかを予め想定しておいた方がパフォーマンスが向上されるでしょう。

そうした人間関係が多く持てるような言動を普段から心がけましょう。

研究内容の紹介

掲載媒体the Association for Psychological Science
研究が発表された年2014
引用元Cohen et al., 2014

研究方法

一般的に、次のようなことが知られています。

  • 他人との対立関係がしばらく続いている人々は、風邪のウイルスを撃退する力が弱い
  • 困った時に助けてくれる人がいる人々は、うつや不安などの精神的なストレスに対して比較的耐性がある。

そこで、研究チームはそれらが科学的に証明できるのかどうかを確認するために、次の2つの観点から実験を行いました。

  • サポートしてくれる人がいると認識することで免疫力が向上するのかどうか
  • ハグされることで免疫力が高まるかどうか

実験の手順は次の通りです。

  1. 404人の健康な成人に対してアンケートを行い、彼らが普段どのくらい周囲の人から助けてもらっているかや、ハグの頻度、他人と衝突する頻度を調査しました。
  2. その後、参加者は実験室で風邪のウイルスにさらされました。(参加者はその対価として1000ドルをもらうことで実験に同意しています。)
  3. 参加者に対して検疫を行い、風邪を発症していないか、症状がどの程度重症かなどを確認しました。

研究結果

ハグの頻度が高い人や、社会的サポートをたくさん受けていると感じている人は、そもそも風邪を引く可能性が低いことが分かりました。また、そうした人は、風邪を引いたとしても症状が軽かったのです。

この研究に対する私の見解

今回は、ハグをしてくれる人、あるいは、困った時に助けてくれる人がいると、病気やストレスへの耐性がつくという研究を紹介しました。実はこれは誰かからしてもらうだけでなく、あなたが大切な人にしてあげることもできます。ハグによる免疫効果は、ハグという行為自体に起因するのか、それともそうした人間関係を持っていることに起因するのかはこの研究では明らかになっていません。しかし、どちらにしても、ハグを多く受ける人の免疫力が向上することは確かです。ぜひたくさんハグをして、周囲の困っている人をサポートしてあげてください。

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