認知行動療法は慢性炎症を和らげることができる(University of California et al.,2020)

習慣

研究の目的と背景

慢性的な炎症に悩む人は、通常薬物療法を受けることになる。
しかし、薬物療法は高価で、副作用を発生させる恐れもある。
そこで、この研究では心理療法による慢性炎症の治療を検討する事にした。
具体的には、以下の2つの観点で調査を行なった。

  • 心理療法が免疫システムに影響を与えることができるのかどうか
  • もしできるのならば、長期的に最も有益な効果がある方法はどれか?

体に炎症が起きる原因は、不健康な食生活や運動不足だけではありません。
心理的なストレスも大きな原因の一つです。
なので、心理療法が体の炎症に効く可能性も高いのではないかという仮説を研究者たちは持っていた。

研究方法

研究のタイプランダム化比較試験の系統的レビュー(メタ分析)
メタ分析の対象過去に行われた56の臨床試験
総サンプル数4060人
信頼レベルVery High

研究結果

研究の結果わかったことは以下の通りです。

  • 基本的にどの心理療法も体内の免疫システムを改善してくれる。
  • 心理療法を行うと、心理療法を受けない人と比べて免疫システムが14.7%改善し、免疫システムの暴走は18.0%減少する。
  • もっとも効果が高い心理療法は認知行動療法(CBT)である。
  • 認知行動療法は、炎症性サイトカインを減らす働きが特に顕著である。
  • 免疫系に対するCBTの効果は、治療後少なくとも6ヶ月間持続する。

考察

炎症性サイトカインは人体の修復に欠かせない物質です。
しかし、炎症性サイトカインの量が多い状態が持続すると、心臓病や癌、アルツハイマー病に疾患するリスクが高まります。
なので、CBTを行うと、心臓病や癌、アルツハイマー病に疾患するリスクを下げることもできます。

今回の研究から、心理療法は、私たちのメンタルを改善することができるだけでなく、身体にも良い影響を与えられることがわかりました。
慢性炎症など免疫システムに問題を抱えている人は、CBTも試してみる価値がありそうです。

リファレンス

参考論文Grant et al., 2020
研究機関University of California, Davis et al.
掲載ジャーナルJAMA Psychiatry
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