今回のテーマはフリン効果です。
フリン効果とは一体何なのかについて紹介します。
また、フリン効果に関する最新の研究結果についても言及します。
それでは、次の流れで説明していきます。
- フリン効果とは何か
まずはフリン効果とは何かについて理解しましょう。 - 負のフリン効果
次に、フリン効果に関する最新の研究結果について説明します。
実は、最新の研究結果では、フリン効果は負の相関関係を示しているようです。 - 負のフリン効果の原因
最後に、負のフリン効果の原因として考えられているものを紹介します。
フリン効果とは何か
フリン効果とは、知能指数のスコアが年々上昇を続ける傾向のことです。
この効果は1984年に行われた研究により明らかになりました。
その研究では、文化の違いによって結果に差が出ないように、知能テストのデータを35カ国から収集して分析しました。
その結果、次の2点が明らかになりました。
- 1978年に生まれた人のIQは1932年に生まれた人に比べて13.8ポイント高くなっている。
- 人間のIQは、1年あたり0.3ポイントずつ、10年ごとに3ポイントずつ上昇している。
つまり、20世紀初めから継続してIQテストのスコアが伸びていることがわかったのです。
この結果から、研究者は、人類はどんどん賢くなっていると結論づけました。
フリン効果の原因としては、栄養、健康管理、教育などさまざまな因子の影響が考えられています。
中でも、最も有力な要因として考えられているのが環境の変化です。現代の生活は抽象的な思考をますます必要とするようになっており、それがフリン効果をもたらす根本的な原因になっていると研究者たちは考えています。
参考にした科学論文
研究機関 | University of Otago |
---|---|
研究が発表された年 | 1984 |
引用元 | James R. Flynn, 1984 |
負のフリン効果
しかし、最新の研究では、IQテストのスコアが過去数十年間に徐々に低下していることが明らかになりました。
つまり、人間が賢くなっていっているのではなく、逆に愚かになっていっているということです。
しかも、これと同様の結果は複数の研究チームから発表されています。
例えば、ノルウェーの研究チームは、1962年から1991年までに生まれたノルウェー男性73万人以上を対象に研究を行った。
そして、彼らが18歳または19歳で徴兵されたときに受けたIQテストの結果を分析しました。
研究チームが730,000件全てのテスト結果を解析した結果、以下の結果が明らかになりました。
- フリン効果は1970年代半ばにピークに達した。
- それ以降、1世代あたり平均7ポイントのスコア低下が見られた。
- テスト結果は完全に逆転し、現在の知能指数は約70年前に戻っている。
また、別のイギリスの研究チームも、第2次世界大戦の終わりくらいからIQスコアの結果が10年ごとに2.5ポイントから4.3ポイント低下したこと明らかにしている。
参考にした科学論文
研究機関 | Ragnar Frisch Centre for Economic Research |
---|---|
研究が発表された年 | 2018 |
引用元 | Bernt & Ole, 2018 |
負のフリン効果の原因
では最後に、負のフリン効果の原因として考えられているものを紹介します。
まず、ノルウェーの研究結果では、IQの低下と遺伝子や環境要因との因果関係を示すものは見つかりませんでした。
なので、そのほかに考えられる要因としては、ライフスタイルの変化や、子どもへの教育手法、子どもの成長プロセスなどが挙げられています。
また、食生活も人間の知能指数に影響を与える要因です。
例えば、魚をたくさん食べるとより高いIQを持つ傾向があることがわかっています。
現代では多くの国の子供たちが魚をあまり食べていないことも、IQテストの結果が悪くなっている一因かもしれません。
まとめ
- フリン効果とは、知能指数のスコアが年々上昇を続ける傾向のことです。
- しかし、最近発表された複数の研究において、IQテストのスコアが過去数十年間に徐々に低下していることが明らかになりました。
- 2018年に発表された研究によると、フリン効果は1970年代半ばにピークに達し、それ以降IQは世代ごとに7ポイント低くなっているようです。
- IQの低下は遺伝子や環境要因と因果関係がみられなかった。
- なので、そのほかに考えられる要因として、ライフスタイルの変化や、子どもへの教育手法、子どもの成長プロセスなどが挙げられています。
- また、食生活の変化も一つの要因かもしれません。
例えば、魚をたくさん食べるとより高いIQを持つ傾向があることがわかっています。
IQを向上させたい人は、魚を食べる食習慣を身につけてみると良いかもしれません。