クレアチンを摂ると認知能力も高められる(The University of Sydney, 2013)

濃度

要点

クレアチンは、アスリートが筋肉量を増やすために使用するサプリメントとして一般的に知られています。しかし、期待できる効果はそれだけではありません。今回紹介する研究では、クレアチンを摂取することによって次の効果が得られることを明らかにしました。

  • 脳の処理能力の向上
  • 記憶力の向上

この手法を実践するときのコツ

クレアチンは、確かな効果があり安価で安全と言われています。しかし、クレアチンのリスクと利益に関する詳しい研究はまだこれからという状況ではあります。この研究でも、短期的に摂取した場合の効果は分かっていますが、長期的に摂取した場合のメリットデメリットは分かっていません。なので、まずは短期間だけ試してみるのが良いかもしれません。例えば大学生など、短期間に脳の能力の向上させたい人にはクレアチンの摂取が役立つかもしれません。

また、大量に服用したり、空腹時に服用すると(あるいは両方)、胃腸障害を引き起こす可能性があるので気をつけましょう。推奨される服用容量は、体重によって推奨服用量は異なりますが、1日3〜5グラムです。ただし、クレアチンが筋肉のなかに飽和するまでに1カ月ほどかかるので、筋力も一緒に強化したい人は最初の1週間だけ1日20グラム服用すると良いです。

研究内容の紹介

研究機関The University of Sydney
掲載媒体Proceedings of the Royal Society
研究が発表された年2013
引用元Rae et al., 2013

研究方法

被験者には菜食主義者と完全菜食主義者が選ばれました。クレアチンは食べ物から摂取することができ、特に肉類に多く含れています。ベジタリアンやビーガンの人は、普段肉を食べず体内のクレアチンの量が少ないので、クレアチンを服用した場合の効果を観察しやすくなるのです。

被験者は6週間毎日5gクレアチンを摂取し、認知テストを受けました。このテストは制限時間を設定して行われたため、精神的なプレッシャーの下で速い処理速度が必要とされました。

研究結果

クレアチンの補給は脳力の向上に有効であることが分かりました。たとえば、電話番号などの長い数字を覚える能力をテストする項目では、覚えられる数字の桁数が平均して7から8.5に改善されました。こうした結果は、脳が利用できるエネルギー量が増えたことによって脳のパフォーマンスが向上したと考えられています。つまり、クレアチンを摂取することによって、脳が利用できるエネルギーを増やせるということです。

この研究に対する私の見解

認知能力を構成する要素は3つと思っていましたが、もう一つあったようです。

  • 処理能力
  • 記憶能力
  • これら2つの力を何に使うかを考える力(いわゆるクリティカルシンキング)
  • 能力を十分に発揮するためのエネルギー

処理能力は生まれながらに決まっており、後天的に向上させるのは難しいと言われています。なので、重要なのは、処理能力を何に対して使うかということと、持っている処理能力を最大限発揮できるようにすることです。クレアチンの摂取は、この後者に効くということですね。皆さんもぜひ試してみてはいかがでしょうか。

ちなみに、クレアチンは筋肉を瞬発的かつ爆発的に使うことが要求される運動に効果的です。例えば、ウエイトリフティングや短距離走です。一方、有酸素運動に対してはあまり効果がありません。筋力向上のためにクレアチンを摂取したい人は注意してください。

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